2023.01.06

META社応用事例:NANOWEB®透明導電性フィルムで融雪・曇り止めヒーターを透明に

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コーンズテクノロジー編集部
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 透明ヒーターを実現:これまでにない曇り止め/除雪・凍結防止が可能に

NANOWEB®は、高い導電性と透明度を両立させた、透明導電性フィルムです。さまざまな材料の表面に成膜可能(ガラスなどの硬い基材からPETなどの樹脂フィルムまで)。従来のITOフィルムやその他の透明導電性材料を凌駕する性能を持ち、フレキシブルでありながら比類のない透明性(~99%)、導電性を示します。

このNANOWEB®透明導電性フィルムは透明ヒーターとしてお使い頂けます。

透明導電性膜を抵抗加熱素子として使用することで、透明な面に均一に熱を供給することが可能で、視認性を保ちながら発熱が必要な部品などにお使い頂けます。自動車のフロント・リヤウィンドウなどに応用すれば、視界を損なうことなく曇り止めや凍結防止が可能です。

高い導電性により低電圧でハイパワーの加熱を実現

この透明ヒーターは、NANOWEB®の高い導電性によりこれまでにない性能が実現できます。メガネからフロントガラスに至るまで、さまざまな新しい用途にて、霧、氷、雪などの悪条件で一定の視認性の確保が可能になるのではないかと期待されています。

NANOWEB® は低抵抗であるため、低電圧でヒーターに求められる、面積当たりパワーを実現できます(参考記事)。たとえば、窓にヒーターとして設けた所、わずか12ボルト以下の電圧で 1 分以内に70°C にまで加熱できた事例があります。他透明ヒーター材料(例えばITOなど) と比較して、NANOWEB®であれば、高い透明性を維持しながら、1万W/m2を超える高い面積あたりパワーも実現できるため、これまでになかった性能が実現可能です。

曇り止め機能:メガネ・アイウェアなども快適に

図は、NANOWEB®を曇り防止に用いた例です。透明な面の左半分は NANOWEB®フィルムの透明ヒーターで覆われていますが、右半分は覆われていません。

加熱した液体で満たされたマグカップをこの下に置くと、右半分には結露による曇りが生じてしまっていますが、透明ヒーターのある左半分は透明なまま維持できます。

結露による曇りは、暖かい空気が冷たい表面に接触した時に、水滴が形成され、発生します。この現象で窓などが曇ってしまうと、視認性は大幅に低下してしまいます。たとえばマスクとメガネ(アイウェア)をつけ、寒い場所を歩くと、メガネが曇ってしまって困る事もあると思います。この時、メガネレンズの上にヒーターがあれば、レンズと、メガネの内側の空気との間の温度勾配をなくすことができ、曇りを効果的に防止する事ができます。

LiDAR/Radar 窓の氷や雪の除去が可能に

あるいは、自動車用のカメラやLiDAR/Radarにお使い頂ければ、光学・電波窓についてしまう、氷や雪の除去が可能になります(デフロスター)。

従来の、ITOなどの透明ヒーターを用いた場合は、Radarの電波は導電性膜によりほとんどがブロックされてしまいます。一方、NANOWEB® であれば、ナノワイヤーを 1 次元の線の形でアレイにして設ける事で、偏波の透過が可能になり、100% に近いRadar透過が可能となると言われています。このようなアレイの設計はITOのような導電性材料では実現できなかったものです。

LiDARにお使い頂ければ、NANOWEB® によって高い光透過率が可能となるため、信号対雑音比を大幅に向上させる事ができます。より高解像度の点群データが実現できることは、ADAS での環境検出にも重要となってきます。

今後ますます多くの自動運転車、半自動運転車が公道を走ると予測され、その数は2025 年までに約 800 万台になるとも予想されています。より完全な自動運転に近い自動運転車が公道を走れるようにするためには、高レベルの運転支援技術の実現が求められます。 次世代の自動車、特に先進運転支援システム (ADAS) レベル 3,4,5を採用する自動車では、20 以上の光学スキャナーやセンサーが搭載されると言われ、それら全てが検知できる状態である事が求められます。信頼性や安全性に対する要求がますます高まる中、あらゆる環境にてセンサー性能を確保しようとした場合は、すばやく立ち上がり、透明かつ、均一な見え方を持ったヒーターが求められます。

(参考)
“Nanoweb: A Revolutionary Transparent Conductive Thin Film Technology?”Ragip Pala et.al. TechBlick
<https://www.linkedin.com/pulse/nanoweb-revolutionary-transparent-conductive-thin-film-technology-/>

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