2022.11.09

META®社のホログラフィ技術

WEBマガジン

  • TOP>
  • 特集>
  • META®社のホログラフィ技術
コーンテクノロジー
この記事の監修者
コーンズテクノロジー編集部
コーンズテクノロジーでは先進的な製品・技術を日本産業界へ紹介する技術専門商社として、通信計測・自動車・防衛セキュリティ・電子機器装置・航空宇宙・産業機械といった技術分野のお役立ち情報を紹介しています。

ホログラフの様々な用途

アート用途や偽造防止に

「ホログラム」という言葉をきいた際、まず「 3 次元の立体映像」や「物体や景色が奥行きと遠近感を持っているように見えるもの」というイメージが思い浮かばれます。アート用途では、ホログラムを使用して、 鮮やかな3次元立体イメージが作成されています。あるいは、商用用途であれば、高級製品につけるセキュリティタグに立体画像が使用されるほか、クレジット カード、キャッシュ カードの偽造防止用画像といったものがあります。あるいは、お金の紙幣の偽造を防止するために、多くの国では紙幣にホログラムを埋め込んでいます。

高級製品のセキュリティタグでのホログラフの例

高級ブランド品では偽物と区別するためにセキュリティタグが使われます

ホログラムをタグにつけることで複製による偽物を防ぎます

ホログラムは複製して偽物を作ることが困難です

カードの偽造防止にもホログラムが使われます

紙幣にも、偽造を防止するために、複製が困難なホログラムがが使われます

たとえば写真の丸で囲んだ箇所のようにホログラムが使われています (日本の紙幣にもホログラムが使用されています)

光学設計に:ホログラフィック光学素子(HOE)・体積型ホログラフィック回折格子(VHG)

その一方で、ホログラムは全て、物体を描くためだけに使われているのかというとそうではありません。ホログラムを使う事で、他にはない、特異な機能・性質を持たせる事も可能です。

META社では、光学素子としてホログラムを設計、製造しています。これにより従来のレンズやミラーを置き換えることができるほか、それだけでなく、従来の光学では、とてもできなかったような光学機能も可能にしています。これらのホログラフィック光学素子 (HOE) により、光学システムの設計者の方が、従来の光学素子で実現されたものよりも小型、軽量、安価で優れたデバイスを開発できるようになります。

従来の、レンズ・ミラーでは、厚く、曲面がかさばってしまうことがありました。 この代わりに、薄いHOEを、たとえば上図のような回折機能をもたせて使う事で光学系を小型・軽量にできると期待されています。

従来の光学系では実現困難だった機能の例

ホログラフィック回折格子が光の反射方向を制御し、フィルムの向きにかかわらず、好きな方向に光を反射させることが可能になります (入射角=反射角となる向きに設置しなくてはいけなかった制約を、無くすことができます)

ホログラフィック回折格子を使う事で、たとえば様々な方向からくる複数のレーザー光線を1方向に重ねる設計も行いやすくなると考えられています。

ホログラムの作製

ホログラムでは、光の強度に加えて、位相の情報も記録します。このため、従来の写真では写せないような、多くの情報を記録することができます。この情報は、記録媒体の材料のマイクロサイズの構造、あるいはナノサイズの構造に記録されます。

ホログラムを作成するには、2本以上の光線を、特殊な感光材料(記録媒体、メディア) の中で重ねます。するとこれらの光線が干渉し、干渉パターンが生じます。この干渉パターンを形成する光に感光材料を反応させます。この感光材料は写真フィルムのように機能し、光強度の高い領域と低い領域が、屈折率の差となって記録されます。こうしてできる屈折率の周期的な変調は、感光材料の表面だけでなく、深さ方向にまで(立体的に、体積として)分布します。そのため、これらのデバイスは、体積型位相ホログラムまたは体積型ホログラフ回折格子(VHG) として知られています。

ホログラフ露光の様子

感光性ポリマー材料の マトリックス

ホログラフ露光による パターニング

分子構造の並びを調整

META社のホログラフィー技術

META 社では、ホログラフィー技術を、社内でもコアとなる技術力の 1 つとして持っており、さまざまな用途にてホログラフを活用しています。

たとえば、META社の主力製品である、レーザー遮光グラスMETAAIR®の主要部品は、多層構造を備えたホログラフ ノッチフィルターで、高いスペクトル選択性 (狭い波長帯域だけを反射する) と高効率 (ピーク波長においてOD5 を超える光学密度=99.999%を遮光) を備えています。これにより、危険な波長を強力にブロックしながらも、見ている人の視界の色や見やすさを損なわない、レーザー保護フィルターが、実現できました。

レーザー光を遮断する保護メガネにホログラフ ノッチフィルターをお使い頂けます

高い反射率(OD5 =99.999%)で強力にレーザー光をブロックできます。

ホログラフ ノッチフィルターを通した景色を、従来の着色フィルターやコーティングフィルターと比べた図

ホログラフ ノッチフィルターを通した景色を、従来の着色フィルターやコーティングフィルターと比べた図

従来のフィルターでは、フィルターを通してみた景色に色がかかってしまっていました。 META社のホログラフ ノッチフィルターであれば、危険な波長を強力にブロックしながらも、視界の色や見やすさを損なわない、レーザー保護フィルターが可能になります。

META 社のホログラフィック光学素子(HOE)

  • 感光性ポリマーがベース

  • カスタム設計可能

  • 製品への積層時、下記工法に適する

    • ラミネート

    • 熱成形

    • プラスチック射出成形

    • キャスティング

  • 顧客やサプライヤーと緊密に協力しながら、用途ごと要件にあわせ、フォトポリマー材料の特性を調整します。

高度なホログラフィック製造設備

  • 生産施設:ISO 9001-2015認定、ISO 6&ISO 7

  • 光学レイヤーの積層品を製造可能

  • 大型のスキャン露光(最大 600 nm x 800 mm)

  • 自動化検査ステーションによる製品保証

  • 製造 ERP:インダストリー 4.0 対応、原材料から最終製品までのトレーサビリティと適合性を保証します。

アプリケーション統合

  • 戦略的パートナーシップを通じて、用途に合わせた感光性ポリマーを開発

  • フラットあるいは1次元 曲面形状にて

  • フォーミング、ラミネーション、フィルムの設備

  • 様々な基板材料の用途に

  • アイウェア、民生用ディスプレイ、自動車用途に

  • 国際環境規格および航空宇宙規格に対応した検証と試験

曲面ディスプレイ上でのホログラフィックフィルター

研究開発

  • 製品開発のエキスパートによる専任チーム

  • カスタムあるいは商用向けの測定・特性評価機器を完備

  • 最先端の光学ツール (波長可変レーザー、光学機械、設計およびシミュレーション ソフトウェア)

  • 着想からPOC、そして生産までにおいて製品開発をサポートします

◆参照) META社HP ホログラフ技術について https://metamaterial.com/technologies/holography/

国立印刷局HP https://www.npb.go.jp/ja/intro/gizou/genzai.html

関連製品を見る