2013.01.22

【Webマガジン Vol.2 – Jan., 2013】技術用語解説 測定における不確かさって何? <前編>

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コーンズテクノロジー編集部
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不確かさの要因って何があるの? 【Page 2 of 6】

不確かさを求める為には、結果の質に影響する要素を特定する必要があります。 次に挙げられる要素が測定における不確かさの要因となります。 これら全てを組み合せる事で、“その測定における不確かさ”を求める事が出来ます。

①機器本体による要素
②校正器レベルによる要素
③校正器不整合の標準不確かさ
④測定源不整合の標準不確かさ
⑤センサーの直線性補正による要素
⑥センサー温度係数による要素
⑦センサーのノイズによる要素
⑧センサーのゼロドリフト(オフセットのズレ)による要素
⑨センサー校正係数(Cal Factor)による要素<

これら個々のバラつき要素から値を求め、それらの結果の合成から測定における不確かさを求める必要があります。 求められたこれらの値が、すべて悪い方向に作用した場合、測定における不確かさは『最も悪い場合』の結果として、以下の式で計算されます。

 

U1からU Nは、前述している①から⑨のそれぞれの要素です。

『最も悪い場合』の不確かさは、単純にそれぞれの要素が持つ値を足し合わせる事で求める事ができますが、実際にはそれぞれの値はそれぞれ独立している為、必ずしも全ての値が最も悪い条件に作用する可能性は少ないです。 従って、ベクトルの要素を考慮した“合成標準不確かさ”は、それぞれの値を求め、以下の【バジェットシート】と呼ばれる表に記入し、その要素に応じた確率分布に則った手法(除数)を用いて計算されます。

 

 

確率分布の種類には、代表的に以下のものがあります。

 

 

求められた標準不確かさをそれぞれ二乗し、その結果の合計値の平方根を取った結果が“合成標準不確かさ”です。 合成標準不確かさは統計的には約68%の信頼度しかないため、通常は95%の信頼度を持った“拡張不確かさ”を求めます。 拡張不確かさは簡易的には、“合成標準不確かさ”に『包括係数k=2』を掛ける事で求めます。

  • 注意
    測定の不確かさの計算は様々な要素を考慮する必要がある事から非常に複雑なため、今回はより容易で合理的な計算にする為に、計算式を簡略化しています。 また、個々に対する不確かさの計算において必要に応じて、以下のようにパーセントとdBの単位変換が必要になります。