2014.04.22
【Webマガジン Vol.9 – Apr., 2014】赤外線カメラの初歩
WEBマガジン
1. はじめに
過去には真空管を用いて作られていた赤外線カメラも、近年はCCDやCMOSに代表される固体撮像素子が用いられるようになり、色々な分野で目にする事が増えてきています。特に昨今ではテロ対策用としての防犯カメラや、暗視カメラ、再生可能エネルギーとして注目されている太陽パネルの欠陥検出用としての温度計測用カメラなどその使用に注目を集めております。
(※ 当社取り扱いカメラのラインナップが一目で分かる『サーモグラフィ/特殊用途カメラ』特集ページは、こちらをご覧ください)
“赤外線カメラ”はその名の通り、赤外線を見るカメラになります。赤外線は人間の眼に見える波長領域(可視領域)よりも波長が長く、一般には1µm弱から1mm程度の波長領域とされています(図1)。
図1. 電磁波のスペクトル分布
赤外線の波長を更に、近赤外(0.75~3µm)、中赤外(3~6µm)、遠赤外(6~15µm)と細かく分ける事ができますが、赤外線自体は目に見えないため、その用途に合わせて適切な赤外線カメラを使用するためにも、その性能・仕様を十分に理解する必要があります。当社はフリアー システムズ社(米/仏)製の赤外線カメラの輸入販売をしており、様々な用途向けのカメラを扱っています。今回は特にR&D用として使われることが多い同社SCシリーズの中のモデルを例にとって赤外線カメラのスペックや仕様について解説をします。
フリアー システムズ社仕様書
2. 赤外線カメラの構造
赤外線カメラの内部には赤外線を検出する“センサー”があります。この“センサー”はデジカメやデジタルビデオカメラに使われているイメージセンサと同じ作りになっており、画素(ピクセル)と呼ばれる小さな受光エレメントが縦横に規則正しく配列した構造をしています。この仕様は、“フリアー システムズ社仕様書”にある画像性能の「ピクセルピッチ」や「解像度」から確認することができます。
仕様書上にあるスペクトル波長はセンサーが感度を持つ波長領域を示しており、センサーとして「どの材料を使用するか」によって、検出する赤外線の領域を決めることができます。例えば、InSb (インジウム・アンチモン)を使用すると、1.5~5.1µmの領域の赤外線を検出することができます。
図2-1. 赤外線センサー受光面の例
一般的なディジタルカメラと同様に、“赤外線カメラ”にもレンズを取り付ける必要があり、対象物の大きさなどに応じて視野FOV (Field Of View)やどれくらい細かく見ることができるかという瞬時視野 IFOV (Instantaneous Filed Of View)を考慮して使用するレンズを考える必要があります。
図2-2. カメラの視野
近接撮影を行うマクロレンズを使う場合、“フリアー システムズ社仕様書”に例示されているレンズの中からClose up と書かれたレンズを使用する必要があります。たとえば、Close up x 3 — 3.2 x 2.6mmレンズを使用した場合、被写体を3倍にした画像を取得する事ができます。