2013.03.22

【Webマガジン Vol.3 – Mar., 2013】技術用語解説 測定における不確かさって何? <後編>

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コーンズテクノロジー編集部
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はじめに

   前回に引き続き、測定における不確かさに関して説明したいと思います。 尚、不確かさに関する考え方に関しては、前回のレポート【テクニカルレポート 測定における不確かさに関して(前編)】を参考にしてください。

今回の後編では、実例を用いて計算を行い、『最も悪い場合の不確かさ』、『合成標準不確かさ』および『拡張不確かさ』の違いに関して説明したいと思います。 今回も前回と同様に、米国ブーントン社のCW/ピークパワーセンサおよびパワーメーターを用いて説明したいと思います。

実際に不確かさを計算してみましょう 【例1:モデル51075 CWパワーセンサ Step1~5】

前編で説明しましたように、不確かさの概要がわかって頂けたかと思いますが、次にCWセンサ(モデル51075)とピークパワーセンサ(モデル57518)とパワーメータ(モデル4530)を使用した場合のそれぞれの計算例を考えてみましょう。

測定条件は以下の通りです。

  • 信号源周波数:    10.3GHz
  • 信号源パワー:    -55 dBm (3.16nW)
  • 信号源SWR:       10.3GHzにおいて1.50 (反射係数=0.2)
  • AutoCal信号源:  内部50MHz校正器
  • AutoCal温度:     25℃
  • 現在温度:         25℃
    注)AutoCal(校正作業)が測定前に実施されている場合の例です。

Step1
4530シリーズの機器本体の標準不確かさは、±0.20%です。このバラつきの値の一部として、機器の温度ドリフトを含んでいるため、AutoCalが実施された直後であれば、標準不確かさは±0.10%もしくは公称値の半分であると考えます。

 

 

Step2
パワーメーターの内部50MHz校正器のレベルの標準不確かさは、-55dBmのレベルでは±0.105dB(±2.45%)です。

 

 

Step3
校正器の不整合による標準不確かさは、前述の公式を用いて算出できます。校正器の反射係数“DCAL”には内部50MHz校正器の値を使用し、パワーセンサの反射係数“DSNSR”は、使用している51075センサのデータシートから値が計算します。

DCALは、データシートより0.024です。 51075センサの反射係数は、50MHzにおける最大のSWR“1.15”より算出します。

 

 

この結果より、校正器の不整合による標準不確かさは、

 

 

Step4
信号源の不整合による標準不確かさも前述の公式を用いて算出します。信号源の反射係数“DSRCE”には測定対象物の仕様値を使用し、パワーセンサの反射係数“DSNSR”は、使用している51075センサのデータシートから値を計算します。

DSRCEは、データシートより0.20です。(10.3GHzにおける信号源の反射係数) 51075センサの反射係数は、10.3GHzにおける最大のSWR“1.4”より算出します。

 

 

この結果より、信号源の不整合による標準不確かさは、

 

 

Step5
AutoCalを用いて校正された 51075 CWセンサの線形性の標準不確かさは1.0%であると仮定します。