2018.09.22

【Webマガジン Vol.26- Sep., 2018】Column: FLIR Lepton で、お手軽?サーマル (1)

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この記事の監修者
コーンズテクノロジー編集部
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初めに

Leptonは、小型の安価な遠赤外線(LWIR)カメラモジュールで、80×60画素のLepton1.x/2.xシリーズと、160×120画素のLepton3.xシリーのラインアップがあります。FLIR社では、Makerコミュニティーサポートとして、このLeptonを使ったデザイン事例を紹介しており、時にはコンテストも行います。Lepton Maker Communityに行ってみてください。


図1 Leptonシリーズ

サイト内、Getting Started – Check out the quick start guidesには、その絵柄が示す通り、Raspberry Pi2とBeaglebone Blackを使ったクイックガイドが掲載されています。これらのサイトを参考に、Leptonを使われている方もおられることと思います。そこではほかにArduinoと記述がありますが、ATmegaクラスのMCUでサポートできるわけではなく、Due(Cortex-M3)、あるいはESP8266、ESP32(Xtensa)を使った、本家Arduinoとは使っているMCUが異なる互換ボードなど、高機能な SoCが搭載され、かつ、Arduino IDEでプログラム開発可能なボード用になります。そのようなボードでアプリケーション開発されておられる事例も見受けられます。

本書では、makerでの事例があるSTM32マイコンと、Linuxが稼働するARM SoCボードでVideo4Linux2を使用してサーマル画像を得ることにフォーカスしてみたいと思います。この2つ、独立なようですが、「適材適所」を考えるうえで、それぞれについて理解しておくと、装置開発にあたって役に立つのではないかと思います。全て述べると、だいぶボリュームが出てしまうので2部構成とし、本書では、まずPureEngineering社・GroupGets社が提供しているLepton関連の製品について述べます。

 

1章 PureThermal

PureEngineering社とGroupGets
PureEngineering社とは、米国にあるmakerで、特にLeptonについて様々なプラットホームをGroupGets社と組んで提供しています。GroupGets社はいわゆる共同購入サイトで、makersを含む製品の仲介商社的な活動と、共同開発のコーディネーションを行っているようです。ここでは、この2社が組んだ製品について、ご紹介してみたいと思います。

 

Breakout Board

Leptonはカメラ「モジュール」で、直接はんだ付けして使うものではなく、ソケットに搭載して使うことが前提となっています。このために、Breakout Boardという、Leptonを搭載するソケットと電源など、Leptonとホスト装置が通信するためのI/FであるSPIとI2Cを引き出すための端子が用意されたボードが用意されています。このボードは、素直に、Leptonの端子を引き出して、Leptonの動作クロックと電源供給を行っているだけです。

図2 Breakout Board

Lepton3以降Leptonは高解像度化され、その分扱いも難しくなっており、基本的に、Lepton3向けのbreakout boardは今後用意されるスケジュールとなっています。現状では、Leptonというデバイスに関する知識と、ソフトウエア開発スキルをお持ちの方向けの位置づけとなります。Lepton Getting StartにあるRaspberry Pi, BeagleBone BlackとBreakout Boardを組み合わせる事例で使われているLeptonは2.5です。Quick Start guideでは、この後に述べるPureThermal2でLepton3.5を動かしており、Lepton3.xとBreakout Boardを組み合わせた事例の掲載は、まだありません。GroupGetsがBreakout Board + Lepton3.xの組み合わせを紹介するかもしれませんが、FLIRがサポートするものではなく、GroupGetsのサポートを受けてください。

 

PocketCam (FOXCAM)

2.5インチほどでしょうか?LCDと同サイズのPIC32ベースのプラットホームにバッテリーを搭載した、コンパクトなデモキットでした。現在では入手できません。

 

PT1, PT2 (PureThermal1, PureThermal2)

PT”2”すなわち2世代目なのですが、その前身であるPT1は、Leptonと通信するSPI・I2Cに加え、USB OTGが搭載されているSTMicro社STM32F411 MCU(PT1後期・PT2ではSTM32F412)をエンジンとして使い、構成されています。USBデバイスとして、WindowパソコンでLeptonのサーマル画像を取り扱えるようにしてくれた「偉大な」システムで、UVCカメラデバイスとしてLeptonを扱えるようになっています。PT1上には、さらなる拡張を行うためのSPIなどの端子が用意されています。通信プロトコルを内蔵している、TELEC認定を受けたWi-Fiモジュールを適用できれば、かなりコンパクトな、Wi-Fi接続のサーマルカメラの試作を行えるようになっていました。

このボードを用いて、Lepton Getting StartにあるQuick Start Guide: Getting Started with Lepton on Windows及びAdvanced Lepton Usage on Windowsが作られています。

単体でPT1, PT2を入手した場合、サーマル画像表示には、以下に述べる、Lepton User Application、GetThermal、またはUVCビデオに対応したアプリケーションを使います。