2016.01.22
【Webマガジン Vol.17 – Jan., 2016】Column:分光によるイメージング技術:「マルチスペクトル」・「ハイパースペクトル」とは
WEBマガジン
マルチスペクトルやハイパースペクトルでの具体的な応用例
③ FPI方式
HSIを実現する3つ目の手法として知られているのがFPI(ファブリペロー干渉計)技術を使用した分光方法です。FPIを用いて、特定の波長分光を行いますが、最近はMEMS技術により、より小型で分解能の高い製品が出てきています。上記で説明したFT-IR方式HSIと同様に、検出器としてフォーカルプレーンアレイを使用する事で、X方向とY方向の2次元画像に対する各ピクセルのλ情報を取得する事が可能であり、スナップショットでのハイパースペクトル情報の取得も可能になります。
当社が販売しているリコラ(Rikola)社の小型ハイパースペクトルカメラは、上述の通り“面”で画像を取得し、検出器で撮像する前に、画像フィルタを通しています。このフィルタにFPI技術を使用する事で、30fpsの動画撮影を可能にしております。
左:ファブリペロー原理 右:リコラ(Rikola)社小型ハイパースペクトルカメラ
④ その他方式
HSIを実現するその他の方式としては、AOTF(音響光学チューナブルフィルター)やLCTF(液晶チューナブルフィルター)などがあります。分光製品の小型化を図る点では、これら技術は非常に有能ですが、分解能の面や対応波長並び価格の面で、まだまだ課題があります。ただし、検出器としてフォーカルプレーンアレイを使用する事で、X方向とY方向の2次元画像に対する各ピクセルのλ情報(波長情報)を取得する事が可能であり、対象物を動かす必要もないので、卓上型の製品(顕微鏡や分析器)に採用されつつあります。
マルチスペクトルやハイパースペクトルでの具体的な応用例
より多くの情報が取得できるマルチスペクトルやハイパースペクトル技術により、環境リサーチ/モニタリング、植生調査、地質/鉱物調査、選別/リサイクル、金属産業、医薬品分野、食品産業など色々な応用例が考えられています。以下に具体例を紹介します。
① 医薬品分野
薬品の均一性やタブレット錠の特定の微粒子サイズ、分布
タブレット錠
成分
② 農業分野
種や植物の識別、疫病調査、含有成分の評価及び選別
(図はCanadian Grain Research Laboratoryより)
③ 地質/鉱物調査
左から「VNIR(可視・近赤外)画像」、「SWIR(短波赤外)による鉱物マップ」、「LWIR(長波赤外)による鉱物マップ」
④ 食品分野
脂質、プロテイン、水分などの分布、定量(CCFRA, Campden, UK)
⑤ 産業分野
半導体、ミラーなどの薄膜測定、厚み分布(middleton research)、色差測定(Coltex system by Iris DP)