2015.07.22
【Webマガジン Vol.15 – July., 2015】深い領域で計測可能、レーザー光音響3Dシステム(LOIS-3D)
WEBマガジン
■ 2Dイメージから立体精度に優れた3Dイメージングへ
この技法は、レーザー光を縦列に均一照明化し、小動物全体を一様に照射しながら、個々の部位で発生する音響波をアレイ(トランスデューサ)で高速読出しを行います。
その後、対象物(小動)廻りをレーザー照射系ならびに音響アイセットして、360 °回転させながら、小動物内部を含む全身画像(Whole Body)の3D計測・表示を行います。
システムイメージ図
■ 機能イメージング計測(血管や臓器、腫瘍形成等の計測)と分子イメージング計測(各種標識プローブ利用)が可能
これまで全身画像(Whole Body)と言うと、高額なPETやMRI、X線 CT等の小動物版μPETやμMRI、μCT、蛍光法マクロイメージング等の高額計測等の高額計測機器が利用されていました。しかし、計測対象が個々の計測技法で違いがあり、生体イメージングを行う上で糖代謝のみ、硬組織( 骨、脊柱、ひざ等)のみ、軟部組織(血管、臓器、再生組織等 )のみ等、その用途に制限があります 。
また、他社同技法は、生体イメージングでの体内2Dイメージングに重点が置かれており、立体的な位置精度が確保出来ませんと小動物内での臓器サイズや腫瘍サイズ等の定量データの誤差が大きくなってしまいます。これらの問題点を長年(25年)の研究成果を基に解決し、システム特徴として特許を含む下記の様々な工夫を製品内に組込み、製品化を実現したのが『レーザー光音響システム』です。
- 球面対称性の良い立体画像計測
- 体表層/深部の2モード計測
- 最大5cmまで可能な計測深度
- 機能計測と分子イメージング
この製品は、生体イメージングの計測用途として, 機能計測(血中酸素飽和度や総ヘモグロビン量のマップ表示)と、分子イメージング(標識プローブによる体内ターゲット分子の局在計測)を行うことが出来ます。 この分子イメージングの目的は、各種標識プローブとリポーター遺伝子活性を検出する事により、投薬効果や生体内におけるターゲット分子の局在や動態をin Vivoにて観察しながら、非侵襲で腫瘍、血栓等の治療や末梢血管疾患抑制等の評価や研究に役立てられる所にあります。この技術は、今日ならびに今後のライフサイエンス分野に大きな影響を与えると期待されています。
計測例1(左から):臓器、血管棘、骨組織棘
また一般的には非侵襲(非解剖)、無染色で計測可能な下記の太い血管計測像が馴染み深いと思われますが、体内で張り巡らされる血管網が一目瞭然で観察出来ます。
■ 下記応用へと広がり始めるレーザー光音響3Dシステム(LOIS-3D)
このような特徴を持つレーザー光音響3Dシステム(LOIS-3D)は、更に下記応用へと広がり始めています。
- ES細胞やiPS細胞などの再生組織の体内評価
– 体内移植した再生組織を形態学的に外部モニタリングし、その機能評価 - 投薬(Drug Delivery System)による臓器病理の改善評価
– 生体内で標識プローブを血管注射し、目的の臓器内タンパク質と抗体結合した状態評価 - 薬物治療や温熱治療の評価
– 皮膚がんを含む、がん(分子イメージング)、がん抗体等の治療評価