2020.08.22
【Vol.37- Aug., 2020】Column: FLIR Boson用コーンズテクノロジー製 BCN – Boson Connection Boardとアナログ出力ボード・外部同期入力ボード
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4. BCN基板の活用
BCN基板には、VPCと同等のことを行うためのインターフェースすべてが引き出されています。アナログ出力基板は、そのうち、画像出力のパラレルデータと、RS-232C(あるいはRS-422/485)を利用しているわけですが、USBや外部同期クロック入力も引き出しているため、それらを活用しない手はありません。まずは、BCN基板を活用しやすくするために、0.5mmフレキ-2.54mmピッチ変換基板を用意して、USBに接続する「ブレークアウト」ボード的に使ってみたいと思います。
(ア)用意するもの
①0.5mmフレキ – 2.54mmピッチ変換基板
基板に品名と店名がバッチリ入ってますが、おなじみの電子部品屋さんで、写真のようなものを調達しました。これを使えば、フレキの各ピンを2.54mmピッチまたは2.00mmピッチに合う形で利用することができます。
②電源
USBを利用する場合、VBUSを利用することができますが、Bosonサイドは、VBUSに電源が供給されていることで、USBが接続されている、ということの検出にしか使用していません。裏を返せば、VBUSが供給されていないと、電源が入ってもUSBが有効にならない、ということですし、VBUSだけではBosonは稼働しない、ということです。つまり、Bosonを稼働させるためには、VBUSあるいはそのほかの電源ソースから、Bosonが使用する3.3Vを供給する必要があります。この電源は、Boson320の場合最大で500mA以上、Bson640の場合最大で1A以上必要とします(いずれもシャッター動作時)ので、それに応じた供給能力がある電源ソースが必要です。
③USBコネクタ
USBコネクタにはいくつか形状がありますが、このようなデバイスが使用するものとしてmicroBが多いかと思います。同じくおなじみの部品屋さんで、調達します。
④組み立て
大抵、ブレボ使って接続するわけですが、カメラ(モジュール)ですので、移動している際に接続が外れるなど起こり得ます。そのため、今回は、各基板間配線は、はんだ付けしてしまいます。microBのVBUSを、3.3VへのDC/DCと、VBUS検出用端子に接続し、USB2.0 DP/DNをmicroBに配線してやります。なお、BCN上のフレキコネクタは両面で、裏表どちらでも使えますが、今回使用しているピッチ変換基板では、コネクタ下向きとなっているため、ピッチ変換上面と、Bosonは同じ方向を向く接続になります。
⑤動作確認
USB microBに接続してやると、Bosonシャッターの稼働音が聞こえます。カメラがさかさまの位置関係になる接続と持ち方となっていますので、Boson Application上に見えている画像がさかさまになっているのはご容赦。
⑥BCN基板、アナログ出力基板、FPCそれぞれ、小売りしておりますのでお問い合わせください。
(イ)単純に、動作確認をするためだけならこのような空中配線でも良いかもしれませんが、この後、BCNから出力している外部同期クロック入力の試験を行うために、信号レベル変換を入れて、ベース基板の上に配線してやります。
5.外部同期クロック入力の動作確認
(ア)Bosonの画像出力についておさらい
BosonにはUVCビデオ出力、Parallel出力の2つの画像出力がありますが、Boson自身が9Hz品であろうと60Hz品であろうと、どちらの場合でも、NTSC出力モードであれば、垂直同期信号は60Hzで出力されています。すなわち、9HzのBosonの場合は、1枚の画像当たり6枚または7枚のコピー画像が連続して出力されています。従って、垂直同期信号VSYNC信号をモニタすると、9HzのBosonでも60HzのBosonでも、16.67mS周期になっています。これは、外部同期クロック入力を使っている場合も変わりません。
(イ)外部同期クロック入力
上の写真、左側からUSB microB、DC/DCコンバータと端子台が2つあります。そのあとロジック電圧変換があってBosonにインターフェースしていますが2つの端子台は、外部同期クロック入力端子と、BosonのVSYNC出力です。ここでは、5Vインターフェースを意図し、外部同期クロック入力としては5Vの方形波入力(~60Hz)、VSYNC出力は5Vへレベル変換していることになります。なお外部同期クロック入力を使用する場合、Bosonの出力としてはBT.656モードは使用できません。
(ウ)試験装置の構成
クロック発生源として、1Hz刻みで周波数制御できるDDSと、オシロスコープを用意しました。比較的「お手軽に」確認することをモットー??に、DDSは秋月電子さんで購入できるキット、オシロも1ch.ですがキットを使っています。 画像を確認するための装置が必要になりますが、外部同期クロック切り替えは、USBを経由しコマンド、または、SDKを使用したアプリケーションを使用して行います。例えば、画像確認を行うのがWindows PCであれば、以下から入手可能なrawBosonを同じPCにセットアップしてください。
https://github.com/FLIR/rawBoson
rawBosonドキュメントに説明ありますが、「コマンド」は、SDKにおけるFunctionIDと同等のものです。従い、 https://www.flir.com/support/products/boson#Resources より、Boson SDK Documentationを入手しておいてください。
(エ)クロック同期の手順
Bosonは、通常の自走モードと、外部同期クロックに追従する外部同期スレーブモード、Boson自身が同期クロック出力を行う外部同期マスターモードがあります。ここでは、外部同期スレーブモードの動作確認を行います。
外部同期クロック入力としては、自走モード60Hz(正確にはNTSCの59.94Hz)を最高速として想定されていますが、遅いクロックでは画像ノイズが増加していきます。
また、同期スレーブモードに設定を変えた時、Bosonはそのクロックへの同期に成功しない限り、外部入力に切り替えません。従って、コマンドによって外部同期クロックへ切り替えたはずなのに切り替わっていない、という事態が発生しえます。外部同期入力モードに切り替わっているかどうかは、コマンドで確認する必要があります。
手順としては、①外部クロック入力端子に、同期させるクロックを入力する。②スレーブモード切替コマンドを投入し、切り替わったかどうかを確認する。これだけです。スレーブモード動作中に外部クロックを停止すると、自走クロックに切り替わりますが、その場合Bosonが正常に動作しないかもしれません。また、クロック切り替え時、画像にはノイズが乗るため、それをwipeするためにFFCを実行する必要があります。
外部同期マスターモードの場合、スレーブモードでクロック入力として使用する同じピンを出力として使用するので、マスターモードとスレーブモードは同時に使用することはできません。
(オ)実例ビデオ
以下のビデオは、回転しているファンを撮影したものです。自走クロック→9秒頃:15Hzスレーブクロックに切り替え→13秒頃:自走クロックに切り替え、の手順でクロックモードを切り替えたもので、クロック切り替え後にはFFCを実行しています。それをしないと乱れたままになります。15Hz動作中は、比較的頻繁に画像が乱れてしまいました。
繰り返しますが、この時もビデオ出力の垂直同期周波数はずっと60Hzのままです。そのため、どんな速度に同期したのかを、Boson自身から知ることはできません。
テストに使用したDDSの精度にもよるものと思いますが、外部同期クロックを10Hzまで下げると、うまく同期してくれませんでした。
(カ)試験に使用したシステム写真
30Hzで試したときのスナップです。オシロはVSYNCをモニタ。
(キ)USB & 外部同期クロック入力ボード
以上に基づいたものを、一枚のPCBにまとめたものを作成しました。Boson側のBCN基板と組み合わせて専用フレキで接続します。写真左側USB microBコネクタはBosonの画像及び制御インターフェース、真ん中のピンジャックは外部同期クロック入力になります。一番右の端子はVSYNC出力を確認できるようにしてあるもので、最終的には削除されます。