何故チャープ信号は低から高周波数にスイープするのでしょうか?
チャープ信号は20Hzから20kHzまでの低い周波数から高い周波数を掃引します
対数掃引正弦波(チャープ)を用いたAPx測定を見ると、信号が常に低周波数から高周波数へ、例えば20Hzから20kHzへと掃引されていることに気づくかもしれません。開始周波数を上げ、終了周波数を下げることで周波数範囲を変更することはできますが、従来のステップサイン波掃引測定のように、高周波数から低周波数へ掃引するように測定を設定することはできません。これは、DUTの線形、非線形性が分離されている結果であり、DUTのインパルス応答が高調波歪みの評価を決める一因になります。
低周波から高周波へ掃引した場合
図1はチャープ信号測定の結果です。時間-周波数ドメイン例はDUTの線形応答を示しています。高調波歪みも表示され、DUTの応答に平行な点線で表示されます。デコンボリューションという数学的プロセスを使って、DUTのインパルス応答はDUTの出力信号から引き出します。
図1:Chirp measurement result swept from low to high

遅延が取り除かれると、DUTの線形応答は図2の時間軸が0となる大きなインパルスになります。歪み成分はメインパルス前の小さなインパルス(h2,h3…)として表示されます。
図2:Impulse response swept low to high

高周波から低周波へ掃引した場合
図3のように、同じDUTと使って、高いチャープから低いチャープを適用すると、同様の結果が得られます。高調波応答も時間軸に沿って、基本周波数よりも上に表示されます。
図3:high to low chrip

しかし、高いチャープから低いチャープへの応答がデコンボリューションの場合、高調波はDUTインパルス応答は図4のように右に移ります。
図4:Harmonics to the right of the DUT impulse response.

図からも分かりますように、高調波応答が線形応答が右に位置する場合、DUTインパルス応答は混合されます。必要な要素を分離する機能を防ぎます。この問題は、通常の部屋でアコースティック測定を行うには悪くする要因となります。この為、正確な高調波歪みがデータから引き出せません。これを防ぐために、低いチャープから高いチャープへと実行する測定となっています。
詳細は以下のサイトを参照ください。