2024.12.27
パルスジェネレータとファンクションジェネレータの違いとは?パルスジェネレータの基礎からディレイ機能まで紹介
SRS
パルスジェネレータとファンクションジェネレータは、電子計測や信号処理において不可欠な機器であり、さまざまな用途で使用されています。しかし、それぞれの役割や用途には明確な違いがあります。
この記事では、パルスジェネレータとファンクションジェネレータの違いや、パルスジェネレータの基本的な機能と選び方などを解説します。
パルスジェネレータとは
パルスジェネレータは、周期的なパルス信号を発生させることでデジタル回路のテストやトリガー信号の生成に使用される機器です。パルスジェネレータが生成するパルス信号は、短い持続時間で高精度のタイミングを必要とするアプリケーションにおいて非常に有効で、クロック信号の生成、信号のトリガーなどに利用されます。非常に短い立ち上がり時間と立ち下がり時間を持つため、理想的な矩形に近い波形の生成が可能です。
一方、ファンクションジェネレータは、正弦波や矩形波、のこぎり波といった信号波形を連続的に発生させることができます。周波数を変更してさまざまな波形を幅広い周波数帯で作り出すほか、振幅や位相の調整も可能となっています。
パルスジェネレータとファンクションジェネレータの機能と用途
パルスジェネレータとファンクションジェネレータの違いは、主に出力信号の特性と用途にあります。パルスジェネレータは短時間に高速でオンオフを繰り返すパルス信号を出力するのに対し、ファンクションジェネレータは多様な波形を連続して出力できます。
このため、パルスジェネレータはデジタル回路の精密なタイミング制御や電源に適しており、半導体レーザー用の電源、高速ゲートイメージインテンシファイア、高速デジタル機器の動作試験、時間領域反射測定などに使用されます。一方、ファンクションジェネレータはアナログ信号のシミュレーションやオーディオ機器のテストなど、様々な波形や周波数が求められるアプリケーションで非常に重要な役割を果たします。
パルスジェネレータを選ぶ際のポイント
パルスジェネレータを選定する際にはいくつかの重要な要素がありますが、主にパルスに関わる指標と出力レベルに関わる指標がポイントとなります。
まずはパルスに関わる指標です。パルスジェネレータは、非常に短いパルスから長時間持続するパルスまで、幅広いパルス幅を生成できます。パルス幅はナノ秒単位の短い幅から求められることが多く、このような短いパルス幅を生成するためには高性能なパルスジェネレータが必要となります。
また、パルス幅は一定である必要があり、正確に同じ幅のパルスを設定した周期で安定して発生させることが大切です。
パルスジェネレータが発生させるパルスは矩形、すなわち長方形や正方形が理想です。できるだけ矩形に近いパルス出力が理想であり、このパルスの立ち上がり時間(ライズタイム)と立ち下がり時間(フォールタイム)は、信号のON/OFF切替時間を表す重要な指標となっています。これらの時間が短いほど、より垂直に近い信号を生成でき、高速デジタル回路のテストなどパルス幅が短い用途においてより精度の高い測定が可能となります。
出力レベルに関する指標には、電圧と電流があり、これらの指標はパルスの形状や安定性に依存しています。パルスジェネレータを電源として使用する際には、電力の安定供給のために大切な指標となります。パルス形状は矩形かつ常に同じ形状でありつつ、ジッタが小さいと安定します。
最近では、出力パルスを細かく制御するだけでなく、正確に出力を遅延できるデジタルディレイパルスジェネレーターが主流となっています。一昔前と比較すると機能が充実し価格もリーズナブルになっていますので、現在使用しているパルスジェネレータが旧式である、または課題がある場合は買い替えをおすすめします。製品の詳細はぜひ以下のページからご確認ください。
Stanford Research Systems社の DG645 パルスジェネレータの機能
パルスジェネレータメーカーとして世界的に有名な企業がStanford Research Systems(SRS)社です。ここでは、SRS社とSRS社の主力製品ともいえるDG645 パルスジェネレータについて解説します。
Stanford Research Systems社とは
SRS社は1980年に設立された米国のエレクトロニクス機器メーカーで、精密計測器を専門に開発・製造しています。パルスジェネレータのほか、ロックインアンプなどの信号検出解析ツール、ルビジウム発振器、ガス分析装置など幅広いラインナップがあり、低コストかつ高パフォーマンスであることが特徴です。
SRS社の製品は、独自の技術と高い信頼性から、幅広い業界で使用されています。特に大学などの研究機関では広く使用されており、SRS社製品で取得したデータが研究論文に使用される例も少なくありません。物理学、化学、エンジニアリング、薬学といったさまざまな分野で不可欠なツールとなっており、世界中で採用されていることがその信頼性を裏付けています。
DG645 パルスジェネレータの概要と特徴
SRS社のDG645パルスジェネレータは、最先端の技術を駆使して設計された高精度かつ多機能なパルスジェネレータです。特に高精度なタイミング制御が求められる実験や開発において、その性能を発揮します。
DG645の立ち上がりは1nsと早く、最大発生レートは10MHzです。前機種であるDG535の1MHzと比較すると、非常に幅広い周波数をカバーしています。また、ジッタ性能は25ピコ秒以下とDG535の50ピコ秒の半分を実現しており、かつ最小分解能は5ピコ秒と非常に精密な出力が可能となっています。
DG645はトリガーと出力に分周機能を搭載しているうえ、タイムベースをアップグレードしたことで、より正確なタイミングでの出力が可能となりました。DG535の性能では難しかった、精密性が必要とされる評価も行えるようになっています。
DG645 パルスジェネレータの使用事例
DG645パルスジェネレータは、精密なタイミング制御と多機能な同期信号生成を可能にする強力なツールです。レーザーシステムの同期やX線測定、高速カメラの撮影トリガーなど、様々な分野で活用されており、科学技術の進歩を支えています。ここでは、DG645パルスジェネレータの具体的な使用例をご紹介します。
- レーザーのタイミング制御及びレーザーと測定器やシャッターなどの同期・制御
- 高速カメラの撮影・同期・制御信号
- X線の測定・同期信号
- 加速器のタイミングやトリガー信号
- 光学、工学、物理学、科学など幅広い学術研究
- 製品開発の実験、評価
SRS社製関連機器との使用事例
SRS社製ルビジウム基準発振器「FS725」の出力をDG645の外部基準へ同期させることができます。その場合、DG645のタイムベースが標準でもジッターやタイミングエラーの精度を上げることができます。「FS725」が供給する10MHz基準信号はDG645だけでなく、他測定器でも外部基準として使用できますので、相乗効果により正確な出力・測定が可能になります。
まとめ
パルスジェネレータは正確なパルス信号を生成するための重要なツールであり、デジタル回路のテストや時間分解測定、レーザーの電源など、さまざまな分野で広く利用されています。
特にStanford Research Systems社のDG645パルスジェネレータは、その高精度と柔軟な機能により、さまざまな分野で欠かせない存在となっています。パルスジェネレータにより精緻な計測を求める場合は、ぜひコーンズテクノロジーにご相談ください。
関連製品を見る
-
パルスジェネレータ 遅延信号発生器 【高周波測定】
スタンフォードリサーチシステムズ社(Stanford Research Systems) 光計測
DG645 DG535 DB64
高周波測定信号発生器分析装置・計測器光計測器
-
ルビジウム発振器 【高周波測定】
スタンフォードリサーチシステムズ社(Stanford Research Systems)
高周波測定5G/Beyond 5G 高周波測定信号発生器高周波部品ミリ波部品5G用部品 【高周波測定】その他高周波部品分析装置・計測器周波数標準機
-
ファンクションジェネレータ 【分析装置・計測器】
スタンフォードリサーチシステムズ社(Stanford Research Systems) 汎用計測器
DS335 DS340 DS345 DS360
分析装置・計測器汎用計測装置