Teledyne FLIR Hadron 640R ドローン搭載用カメラシステム構築例― Lantronix LOQ-5165-EVKによるDrone Camera Payload Demo実装アプローチ

Teledyne FLIR社のHadron 640Rは、2022年に製品としてリリースされましたが、ご案内可能な開発環境のリリースには少々お時間をいただきました。DuoPro / DuoPro Rドローン向けの可視・赤外線2眼カメラ(可視・熱赤外)の後継としてリリースされた製品ですが、DuoPro / DuoPro Rとは異なり、IMUを内蔵したカメラモジュールであり、そのまま置き換えができる完成品ではありません。DuoPro / DuoPro Rと同じようにご利用いただくためには、カメラシステムとしての開発が必要になっています。
本稿では、Lantronix社LOQ-5165-EVK及び同ボードと接続するためのボード/ケーブルキット 421-0094-00を用いて、Lantronix社の“Drone Camera Payload Solution Demo”(以下Demo)を当社にて走らせた結果をお伝えします。
このDemoを活用することで、機能面を含めDuoPro / DuoPro R同等のカメラシステムをHadron 640Rで構成できます。くわえて、このDemoは、Open-Q 5165RBのほか、8250CS、8550CSで利用でき、8550CSを使用すれば、より高速のAIパフォーマンス実現します。
準備
LOQ-5165-EVKに、Hadron640Rを利用するためDrone Camera Payload Solution Demoをインストールしていただく必要があります。そのために、次のものを用意ください。
- ubuntu 20.04 LTS(Focal Fossa)以降を搭載したPC
- シリアルコンソール用 microB – Type-A USBケーブル
- Type-C – Type-A USBケーブル
- Hadron640R接続用 microB3.0 – Type-A USBケーブルまたはmicroB – Type-A USBケーブル
(上記はHadron 640R内のBosonをLOQ-5165-EVKに接続するためのものです)
各部分品の説明
(1) Hadron 640R
Hadron 640Rは、Boson RadiometryまたはBoson plus Radiometryと、OV64B 64Mpixel CMOSセンサ、BHI160B IMUを一つの筐体に納めたものです。背面に50pin B2Bコネクタがあり、それを用いてシステムと接続します。Hadron 640Rは3種類の評価プラットホームを用意しており、それぞれに向けて異なる「テストキット」が存在します。
(2) Open-Q865テストキット(421-0094-00)
本稿で使用するLantronix社LOQ-5165-EVKと接続するためのテストキットで、次の部品で構成されます。
- Hadron640R背面B2Bコネクタをテストキットに接続するインターポーザーボード(各キット共通)
- LOQ-5165-EVKインターフェースボード
- OV64B – EVK接続用フレキケーブル
- その他ネジ類
組み立て
インターポーザーボードを介して、インターフェースボードとHadron 640Rを接続します。

同梱のフレキケーブルを用いて、インターフェースボードの“OV sensor”側と、LOQ-5165-EVKを接続します。フレキコネクタにはオモテウラがあり、反対面はコネクタに挿入できません。無理しないようお願いします。microB (or microB3) – Type-Aケーブルを用いて、BosonをLOQ-5165-EVKに接続します。

Drone Camera Payload Solution Demoインストール
Drone Camera Payload Solution Demoを展開すると、Applicationノートがあります。それにしたがってセットアップを進めてください。新規に購入されたボードではない場合、その状態によって、ADBを用いてのfastbootの使い方には違いがあるかもしれません。
なお、ダウンロードしたDemoのバージョンによっては、次の追加作業が必要になります。OSイメージのJFlash後、GStreamerを使用する前に確認してください。
追加作業
LOQ-5165-EVKにログインし(ADBでもシリアルコンソールでも)、次のファイルのパーミッションを確認してください。
root@qrb5165-rb5:/usr/sbin/usb/compositions# ls -l 901D_*
-rwxr-xr-x 1 root root 3755 Jun 4 2025 901D_original
-rwxr-xr-x 1 root root 3651 Jun 4 2025 901D_uvc
root@qrb5165-rb5:/usr/sbin/usb/compositions#
UVCモード、ADBモードへ切り替えるためには、上記2ファイルに実行パーミッションが必要です。
テスト
このDrone Camera Payload Solution Demoを用いると、Hadron 640Rを、BosonのようにUVCカメラとして使用するモード、LOQ-5165-EVK単体で撮影を行うモードの2通りで運用することができます。モードの切り替えにはボードの再起動を必要とします。
UVCカメラモードでは、Hadron 640Rが内蔵する2つのカメラを、① Side by Side ② Picture in Picture ③可視のみ ④サーマルのみの4通りから選択した上で、UVCカメラとして使用することができます。以下、②のサンプル画像です。サーマルカメラ側の最小フォーカス距離の関係でフォーカスがあっていないところはご容赦ください。可視カメラ画像はHDになります。

サーマルカメラ制御用には、Boson用SDKを利用したCUIが提供されており、疑似カラーモードやスポットメーターに関する設定を変更することができます。また、このDemoでは、Boson Radiometryの出力をR-JPEGとして出力することができ、FLIR Thermal Studio (1.6)を使って熱画像解析を行うことができます。
