特集

Bluetooth v6.0 新機能「Channel Sounding」基礎解説

本特集では、Bluetooth6.0の新機能「Channel Sounding」の概要説明や活用例をご紹介いたします。

なお、2025年3月28日(金)に開催したウェビナー「『Channel Sounding』基礎セミナー」では、Channel Sounding搭載機器同士の通信をTeledyne LeCroy社製Bluetooth プロトコルアナライザで測定したデモの様子を一部お見せしています。アーカイブ配信を行っておりますので、ぜひ本記事と合わせてお役立てください。

Channel Soundingとは?

Channel SoundingはBluetooth Core Specification v6.0で登録された測距技術で、時間と位相差から2点間の距離を推定する技術です。往復時間(RTT)、位相ベース測距(PBR)という2つのレンジング手法により距離測定の精度が飛躍的に向上し、Bluetooth LE接続を行うためセキュリティも強化されました。今後、スマートキーなど位置測位を利用した製品に使用されていくことが期待されています。

Channel Soundingの特長

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Channel Soundingは、InitiatorとReflector(Central対Peripheral)の指定された2つのデバイス間の距離を推定する方法です。

最初にInitiatorデバイスが送信し、次にReflectorデバイスが応答します。この送受信信号の交換により10cm以下の正確な距離測定が可能になります。

この測距技術は、Mode1で往復時間(RTT)、Mode2で位相ベース測距(PBR)、またはその両方を組み合わせたMode3を使用しており、2.4 GHz帯全体でAdjustして正確な測定を実施しております。また、Mode3ではPBRをRTTで補完測定することで安全性を向上させます。

さらに、暗号化・ランダム化・コンパニオン信号でEarly Detect/Late Commit攻撃を、RTT測定でリレー攻撃を防止するなどセキュリティ対策も強化されました。

BluetoothにはRSSI, AoA/AoD(※)等の位置測位技術がある中で、Channel Soundingには上記のメリットがあるため、業界から注目を集めております。

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※受信信号強度(RSSI)を利用した方位探知技術:
 RSSIの強度を利用しているが2.4GHzは環境条件の影響を受けやすいため精度は数メートル程度

※AoA(Angle of Arrival)[受信角度測定法]とAoD(Angle of Departure)[放射角測定法]を利用した方位探知技術:
 位相差から算出するため精度が数十cmに向上。しかし複数の送受信機を必要とするため価格的にデメリットがある

Channel Soundingの構成

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Channel Soundingは、イベント内にサブイベントが存在し、さらにその中でMode0~3と分かれています。

Mode0:定期的な周波数の測定

Mode1:往復時間(RTT)の測定

Mode2:位相ベース(PBR)の測定

M0de3:Mode1と2を組み合わせた機能

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Mode1とMode3で使用される往復時間(RTT)の測定
往復時間(RTT)では、InitiatorデバイスからRTTパケットが送信され、Reflectorデバイスが受信して処理を行い、再度Initiatorデバイスに送信します。ここで、全処理に要したトータル時間から、Reflectorデバイス内で処理に要した時間を差し引くことで、InitiatorデバイスとReflectorデバイス間でパケットが往復するのに要した時間を算出し、デバイスの距離を導きます。

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Mode2とMode3で使用される位相ベース(PBR)の測定
位相ベース(PBR)では、InitiatorデバイスがReflectorデバイスに信号を送り、Reflectorデバイスが信号を返します。2つ以上のチャンネルにおいて、複数の周波数でこのプロセスが繰り返され、送信信号と受信信号の位相差に基づいてデバイスの距離が算出されます。

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セキュリティ対策
Bluetooth LE接続・RTTとPBRという2つのレンジング手法で正確な距離測定により、認証されたデバイスが一定の距離内にある場合にのみロックが開くようにすることができます。さらに、RTTはInitiatorデバイスとReflectorデバイス間の測定において時間の短縮は不可能であることから、リレー攻撃にも有効です。

Bluetooth プロトコルアナライザを用いたChannel Soundingログデータの確認

Teledyne LeCroy社製Bluetooth プロトコルアナライザでは最新規格にいち早く対応しており、Bluetooth Core 6.0にてChannel Soundingが正式対応されたとともに、Channel Soundingの測定ができるようになりました。ドラフト版としては数年前からサポートしており、高い技術力を保持しております。

アナライザでChannel Soundingのやり取りの様子を可視化している様子を一部紹介させていただきます。

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こちらはInitiatorデバイスとReflectorデバイス間でChannel Soundingによる位置測位を行う前のパラメータを設定している様子をLE LLタブ内でパケットとして表示しています。下部の周波数ホッピングの様子を表示しているCoexistence画面は、上部のSummary画面と連動しており、目的のパケットがどのようにホッピングしていたかを確認できます。

各種パラメータの設定が完了しましたら、Channel Soundingによる位置測位が開始されます。
それらのパケットはLE CSタブ内に表示されるようになっております。
実際のパケットの詳細などにご興味ありましたら、Channel Sounding機能が搭載されたデモ機を所持しておりますので、ご要望がございましたらデモの実演も可能でございます。セミナーやデモ、その他製品紹介をご希望の場合は、お気軽にお問い合わせください。

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Channel Soundingの応用

Channel Soundingでは、安全で正確な距離測定を実施することで、自動車・玄関などの製品においてキーレスアクセス化を可能にしたり、室内において鍵・財布・荷物に紛失防止タグを取り付けて追跡を可能にします。その他にも距離に基づいて、複数デバイスの接続をアクティブ・非アクティブに自動的に切り替えることで、一定の距離内でのみ使用を可能にするワイヤレス家電の制御が期待されております。

Teledyne LeCroy社のプロトコルアナライザの活用

Teledyne LeCroy社のプロトコルアナライザ X500e, X500, X240にてChannel Sounding測定が可能です。今後の最新規格への対応も進めております。製品や新機能対応についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。個別にWeb会議やご訪問、デモの実演も可能です。

この記事の監修者

コーンズテクノロジー編集部
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