ラウドスピーカー音響測定:課題とソリューション
AUDIO PRECISION(AP)は、電子オーディオおよび電気音響テスト機器の世界的 リーダーとして認められております。アナログ測定、デジタル測定はもちろん、アコースティック測定も対応可能な測定器、アクセサリーが豊富に揃っております。

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ラウドスピーカーの性能評価は、測定機器・環境・音響特性を踏まえ、再現性の確保が重要です。しかし従来の手法ではコストや柔軟性の面で、下記のような大きく5つの課題があります。
1. 測定機器の精度と信頼性
正確な音圧レベルを測定するためには、精密な測定用マイクロフォンと周辺機器が必要です。これらの機器は、周波数範囲全体で安定した感度とフラットな周波数応答を備えていることが必須です。機器の特性が不十分だと、測定結果の信頼性が損なわれます。
2. 測定環境による影響
ラウドスピーカーの直接音を正確に測定するには、壁や床、天井からの反射音を排除し、対象デバイス(DUT)から放射される音を直接測定する必要があります。しかし、理想的な測定環境(無響室)は非常に高価で、特に低周波数帯域では完全に無響にすることができない場合があります。この点が測定の正確性を制約する要因の一つとなっています。
3. 周波数と波長に基づく音響特性の変化
音響において物理的な寸法が果たす役割も課題の一つとなります。まず、低周波数(20 Hz)では、ラウドスピーカーのサイズが音波の波長に比べて非常に小さく、点音源として全方向に均一に音を放射し、測定結果は比較的一定になります。
一方、高周波数(20 kHz)では、ラウドスピーカーのサイズが波長に比べて大きくなり、放射パターンが方向性を持つようになります。また、この波長は典型的な測定マイクロフォンの直径(約12.7 mm)に近く、マイクロフォンの位置のわずかな変化でも測定値に大きな影響を与えます。
4. 再現性の確保
測定環境や使用する機器のばらつきにより、一貫性を保つことが難しい場合もありますが、高品質のテスト機器を使用して推奨プロセスに従えば、良好かつ再現性のあるラウドスピーカー測定を行うことができます。測定基準は、測定条件、実施方法などに関する業界基準であり、対象ラウドスピーカーのテストとして、意味があり、一貫性のある、再現性のある方法で計測されたことを保証するものとなります。
5. 測定基準の適用範囲の限界
現行のスピーカー測定に関する国際規格「IEC 60268-5、サウンド システム機器、パート 5: ラウドスピーカー 」は、パッシブラウドスピーカーのみを対象としています。一方で、今日ではプロオーディオやコンシューマー向けのアプリケーションでアクティブスピーカー(内蔵アンプ付きスピーカー)が広く使用されており、これらに対応する規格の必要性が高まっており、改訂作業が行われています。
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