2013.03.22

【Webマガジン Vol.4 – May 2013】技術用語 簡単解説シリーズ RF測定におけるパワーセンサに関して

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コーンテクノロジー
この記事の監修者
コーンズテクノロジー編集部
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はじめに

日々の生活において、体温を確認するための【体温計】や体重を測るための【体重計】など、【×××計】はお馴染みで、最近では【万歩計】などがスマートフォンに代表される携帯電話で使用できるまでになっています。

RF(Radio Frequency:ラジオ周波数)の世界でも同じように【×××計】が存在し、例えばパワー(電力)を測定する場合は【パワーメータ:電力計】、電圧を測定する場合は【ボルテージメータ:電圧計】が利用されています。

【体温計】など日常で使用する計器では、測定速度、分解能および測定範囲などの性能を確認し、どのモデルを使用するか選択をしますが、パワー測定においても同様に、その測定する対象が直流なのか交流なのか、はたまたパルス状の信号なのかなど条件に応じて、一番適切なセンサが何なのかを選択する必要があります。

当社が取り扱いしております米国Boonton社は、RF測定用のパワーメータを提供しており、パワー範囲が0.1 nW(-70dBm)から25W(+44dBm)、周波数範囲が10kHzから100GHzのパワーセンサを提供しています。

使用するセンサのモデルに関して、測定対象の周波数範囲やパワーの内容を確認し、どのモデルのセンサが一番適切かを検討すると思いますが、実際の測定器使用者はスペックシートに記載されている性能以外にも“RFパワー”がどのようにして測定されるか、その検出原理を理解しておく必要があります。

一般的に、RF測定を行なう場合は“ダイオード型センサ”と“サーモカップル(熱電対)センサ”のいずれかが多くの場合使用されます。 それぞれのセンサは検出原理が違うためにそれぞれ利点と欠点を持っております。

今回は、Boonton社が提供するパワーセンサを例題に、センサの特徴や取り扱い上の注意点などを説明したいと思います。

 

サーモカップルセンサの特徴

サーモカップルセンサは熱電対に流れた電流値と温度上昇の関係を利用しております。そのため、測定されるパワーは実効値(RMS:Root Mean Square 二乗平均平方根)となります。 非正弦波信号や高調波を含む信号の測定においても測定精度への影響を受けにくく、又、極端に高い波高値を持つパルス性RF測定にも適しています。 Boonton社製のサーモカップルセンサは、1.0μW(-30dBm)~100mW(+20dBm)のダイナミックレンジ(パワー範囲)をカバーしております。

CW(連続波の信号)測定のヘッドルーム(最大入力パワーと熱電対が焼損し壊れるレベルの差)は2~3dBと非常に小さい為、比較的高い電力を測定する場合は注意する必要があります。 一方、非常に短いパルスであれば、大きな入力にも耐えることが出来ます。 例えば、100mWまでの平均パワー(CW)で使用されるセンサでは、およそ2μsの短期間であれば15Wのパルスに用いる事ができます。

サーモカップルセンサの大きな欠点の1つは、上述したように感度が小さいことです。これらのセンサの最小感度は熱電対により制限されます。 従って、10μW(-20dBm)以下の測定においては通常ダイオード型センサが使用されます。