2024.11.25
従来のIMUとの違いと活用事例を紹介:IMX-5の特長と活用シーン
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IMX-5とは?— IMUにAHRS、INSが統合された高精度のタクティカルグレードIMU
InertialSenseが提供するIMX-5シリーズは、10軸DOFセンサが搭載されたタクティカルグレードのIMU(慣性計測装置)です。このIMUセンサ「IMX-5」は、直線加速度、角速度、気圧、磁場ベクトルといった出力に加え、AHRS(姿勢方位基準システム)のセンサーフュージョン技術を搭載することで、姿勢(ロール、ピッチ、ヨー)や方位を正確に算出することを可能にしています。
また、「IMX-5-RTK」は、各国の測位衛星周波数に対応したRTK-GNSSとIMUを統合したモデルもあり、外部GNSS入力をサポートしセンチメーターレベルの精度を持つ、慣性航法システム(INS)としての役割も果たします。さらに、「IMX-5-DUAL」については、2つのGNSSの入力を搭載しており、電磁干渉が懸念される場面で活用できるモデルになります。
このように、InertialSense のIMX-5シリーズは、従来のIMUの機能に加えAHRSやINSの機能を持つことで、より高機能・高精度なナビゲーションを可能にしたタクティカルグレードのIMUなのです。
IMX-5シリーズの活用事例
ここからは代表的なIMX-5シリーズの活用事例を3つご紹介します。
①防衛・航空宇宙での活用—精度とコストを両立したIMU
このIMX-5シリーズは、防衛や航空宇宙分野で特に活用されています。とある大手防衛企業では、携帯型ミサイルシステム用に高精度なIMUが求められていましたが、市場に出回っているIMUでは予算内に収まらず、精度も不足していました。IMX-5はリーズナブルな価格でありながら、タクティカルグレードの精度を提供するソリューションとして導入、活用されています。同様に、IMX-5の技術力は航空宇宙分野でも活用されており、ドローンのナビゲーションシステムをはじめ、ターゲット追跡システムなど、高い精度が求められる環境で利用され、高い評価を得ています。
②通信分野での利用—他のINSに引けを取らないIMU
通信業界でもIMX-5シリーズは活躍しています。大手通信企業では、ヨットなどの衛星測位システムにGNSSを支援するINSを必要としていました。しかし、市場にある従来のINSは、高い価格帯が多く、商業用途には不向きでした。そんななかIMX-5シリーズが解決策となり、この企業の製品に採用されました。現在、IMX-5シリーズは他の高価なINSの性能を持ちながらコストを大幅に削減できるIMUとして評価され、この企業のナビゲーションシステムの主軸を担っています。
③倉庫管理におけるIMX-5の貢献—効率とコストパフォーマンスを両立
また、IMX-5シリーズは、倉庫管理ロボット(UGV)のパフォーマンス向上にも大きく貢献しています。ある企業では、室内用ロボットのパフォーマンス改善が必要でしたが、高価なセンサが製造コスト上の課題でした。そんな中IMX-5シリーズの価格と性能により、これらのロボットの製造コストを抑えながら性能を向上させつつ、IMX-5によりさらなる可能性をもたらしました。
その他の活用事例ーあらゆる動きを捉える、多用途・高精度なIMU
他にも多くのシーンで、IMX-5シリーズは活用されており、サッカーの試合で重要なプレーを正確に捉えるためにカメラの向きを調整するステムで使われていたり、特定の空域で他のドローンを撃墜するドローンハンターを飛ばすために使用されていたりします。InertialSenseのIMUの用途は文字通り無限で、あらゆる動きを捉えるために使用できます。精度が求められる様々な用途で使用されています。
まとめ—IMX-5の多様な活用シーンと市場での価値
IMX-5シリーズの活用シーンは非常に多岐にわたり、タクティカルグレードの精度を要求される用途から、一般商業用途まで幅広く対応可能です。また従来のIMUとは異なり、AHRSやINSの機能を持ちながらも、リーズナブルな価格で提供されています。この点で、コストを軽視できない企業にとって理想的なソリューションであり、今後も多くの業界で、IMX-5シリーズの導入・活用が進むと考えます。
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